十二支考

『十二支考』 〈上・下〉 南方 熊楠  (岩波文庫) 解説 宮田 登


毎年、年賀状の図像をドットする前に、南方熊楠氏の「その図像に関する民俗と伝説」を読もう・・・と思って、昔、購入しましたが、実は、ほとんど果たされていません。
そこで、今年のドット・年賀状十二支一巡を契機に、あらためて、ゆっくり読もうと考えた次第です。

ところで、現在(2014年のメモ)、インターネット図書館の青空文庫の作家別作品リスト:No.93には南方熊楠氏(1867卯年~1941巳年)の十二支考(虎から鼠まで。そもそも牛が無いので、正確には十一考となるのですが)の全文が公開されています。

となると・・・今日日、ブラウザで読んだほうが、いろいろ便利かなと思う次第であります。
但し、民俗学者の宮田登氏(1936~2000)の解説は青空文庫にはありません。

表紙はこんな雰囲気
(高橋新太郎文庫へ)
第22巻第9号
大正5年6月28号
さて、この文庫本の解説によると「書誌的には、1914年から十年間にわたり、雑誌『太陽』に連載された。1914年(大正3)が寅年なので、第1回目は虎となっている。」とのこと。

なお、雑誌『太陽』というと平凡社・・・ではなく、当時は博文館が出版していました。

そして、十年後の「1924年(大正13)は子年であり、鼠の話が当然『太陽』にのる予定であったが、この前年関東大震災があって、その後雑誌の体裁が変更となり、鼠の原稿は『太陽』に掲載されず、さらに加筆されてから『集古』1926年9月号と『民俗学』1930年1月にそれぞれ分けてのせられた。」ということだそうです。

宮田氏の解説には「牛のない理由」はみあたりませんが、推測するに、震災の影響で『太陽』に鼠が掲載されず、次年の1925年丑年に関連した牛に関する執筆を誰からも依頼が無かったので未執筆。「十二支考に牛がない」ということなのかもしれません。

以下に、岩波文庫の目次抜粋に雑誌『太陽』新年号の発行された年などを添えてみました。



01 虎に関する史話と伝説民俗(1914:大正03年)

02 兎に関する民俗と伝説(1915:大正04年)

03 田原藤太竜宮入りの話(1916:大正05年) 

04 蛇に関する民俗と伝説(1917:大正06年) 

05 馬に関する民俗と伝説(1918:大正07年) 





06 羊に関する民俗と伝説(1919:大正08年)

07 猴に関する伝説(1920:大正09年) 

08 鶏に関する伝説(1921:大正10年)

09 犬に関する伝説(1922:大正11年)

10 猪に関する民俗と伝説(1923:大正12年・関東大震災) 

11 鼠に関する民俗と信念(1924:大正13年)

幻の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12 牛に関する民俗と伝説(1925:大正14年・未執筆)

ところで、僕は1949年(昭和24)生まれの丑年です。『十二支考』が「うしなし」というのも、何かご縁を感じるところです。


さて、南方熊楠氏に関する立体的な情報の在処はといえば、熊楠の地元、田辺市のこちら。

南方熊楠顕彰館
(この画像はURLのコピー:ブロガーダッシュボードの操作備忘録として=URLからの画像は原則として×のようです)



ここを拠点に友の会的存在の南方熊楠顕彰会やその学習部会的存在の南方熊楠資料研究会の様々な情報にアクセスできます。

財団法人 南方熊楠記念館 もあります。

その中で、今日の採集成果は・・・

アマゾンから・中古本あり

『南方熊楠を知る辞典』
松居竜五、月川和雄、中瀬喜陽、桐本東太編
講談社(講談社現代新書) 1993年4月刊行

現在、中古本13冊あります。

これが、青空文庫的オンライン・テキストとして、研究会のウェブサイトの【文献】で
『南方熊楠を知る事典』 [New contents: 2005. 5. 8]
として公開されています。

サイトの「詳細目次」はまだオンライン化されていない部分が40%ほどありますが、こうしてオンラインで読めるのは有りがたいことです。


こうなってくると、今年(2015年)の介護同伴旅行は和歌山の田辺市巡りを、ひとつの候補にあげたくなってきました・・・周辺の温泉は?というと・・・